教育講演(06

麻酔の診療報酬

埼玉医科大学 医学部 麻酔科

岩瀬 良範

 

現在、一般的なマスクまたは気管挿管による閉鎖循環式全身麻酔を行うと、2時間まで1件につき61000円、以降30分またはその端数を越えるごとに6000円が診療報酬として医療機関に支払われる。さらに、手術および麻酔の種類や体位、硬膜外麻酔の併用、麻酔が困難な者に対しては、それぞれに診療報酬が加算される。しかし、心電図、パルスオキシメーター、カプノメーター、深部体温およびソーダライムの使用料はここに含まれている。 このような麻酔に関する診療報酬はどのようになっているだろうか? 本講演では、まず診療報酬の仕組みを解説する。特に平成20年度から麻酔時間と診療報酬の計算方法が大きく変更され、麻酔が困難な者(重症加算)の定義も追加された。 一方で、その仕組みに不備や不満を実感されている方も多いのはなかろうか?次に、診療報酬が決定される仕組みについて解説を進める。この決定に現場の臨床医は関与できないが、要望はできる。要望の方法についても言及したい。その要望が、我が国の医療にとって適切かつニーズが高くエビデンスに基づいたものであれば、実現の可能性は必ずしも低くはない。 本講演を通じて、麻酔の診療報酬についての現況、何が達成され、何が問題なのかを一人でも多くの麻酔科医に理解を深めて頂ければ幸いである。