教育講演(10

ラリンジアルマスクをスマートに使いこなす

筑波大学大学院人間総合科学研究科麻酔蘇生学

 

猪股伸一

 

ラリンジアルマスク(以下LMA)類が多多臨床の場に紹介されてきた。しかし,COPAのように販売中止になったり,或は適切位置に留置しにくく使われなくなったものもある。広く臨床で活躍しているのはLMA ProSealであろう。本学会において既に講演がなされていることを踏まえ「これは臨床に役立つ」と考えて我々が得てきた知見と研修医が経験したpitfallなど,少し視点を変えて紹介したい。1)挿入法     (1) 人差し指は横にし尺側をスマートに使う。右利きなら患者の舌の右側を弧を描くように指を回す。舌を押し込まず適切留置が瞬時に可能。 (2) スタイレットをスマートに使う。カバー付で先端が鈍のスタイレットをdrainポートに挿入しカフを中程で折り曲げる。(3) GEBをガイドに使う。直視下にGEBを食道に進める。喉頭鏡と人手が必要。 2)麻酔(導入)法 (1)  導入時にプロポフォールが使えない場合。セボフルランのMAC-LMI2% (Anesthesiology 1994) (小児患者),亜酸化窒素33%または67%併用で25%または50%直線的に減少する (Anesthesiology 2003) (小児患者)。 (2) プロポフォールが使用可能。急速注入すると注入時痛が少ない (EJA 2005) (成人患者)。 冷却すると注入時痛が少ない (ASA 2006) (成人患者)。 注入時痛が少なければLMAが円滑に挿入しやすくなる (ASA 2007) (成人患者)(3)  麻薬性鎮痛薬併用時は声門閉鎖などによる換気困難に注意。 3)胃管の進め方。 LMA先端開口部よりも手前で抵抗がある場合には口腔内でLMAが屈曲している可能性あり。LMAを少し浅くしたり,可能であれば気管支鏡で確認し,位置を調節する。 4)気管支鏡による位置確認。聴診等で判断できない異常あり。