米国の麻酔科医の抱える現状と問題ー日本は米国の失敗から学べるか?

 

橋本友紀

Associate Professor

University of California, San Francisco, Dept. of Anesthesia and Perioperative Care

 

医療を取り囲む制度、環境が異なる中で、日本と米国の麻酔科医は、異なった問題、あるいは、同様の問題に面してきた。米国の麻酔学会では、専門医集団としての麻酔科の存続に危機を感じ、Specialtyとして生き残るためにいろいろな取り組みがなされている。一部の取り組みは、良い結果を出しつつある中、一部の取り組みは、思いがけない新たな問題、challengeを生みつつある。

 この講演では、演者の経験に基づいて、近年の米国麻酔科の抱える問題と、その解決の模索を紹介する。日本の麻酔科は、米国の麻酔科の「失敗」あるいは「経験」から学べることがあるかもしれない。講演の中では、次のような点について考察する。

·        米国での麻酔科の人気の変化

·        麻酔科の研修医制度の変化と最近の試みー研修医はcustomer?

·        研修プログラムの差別化ーAcademic programnon-academic programの差別化

·        Intensive careは、麻酔の最重要な部門となるか?

·        米国の医局(academic department)の構造:誰が診療業務を、誰が研究を、誰が教育を行うか?

·        労働力としての外国人麻酔科医ー安い労働力?

·        Nurse anesthetistー脅威か、同僚か? 

·        米国での麻酔の研究の衰退ー研究の衰退は、何を意味するか? 

·        Specialtyとして、麻酔は生き残れるか?